世界三大カーニバルの一つ、「トリニダード・トバゴのカーニバル」の体験記②
✽カーニバルの日程
カーニバルは毎年キリスト教関係の祝日"Ash Friday"(灰の水曜日)の直前の月曜日と火曜日に開催されます。
月曜は「カーニバルマンデー」と呼ばれる前夜祭のような日。
火曜日は本番の「カーニバルチューズデー」。朝から夕方までひたすら踊りながら練り歩く。
そしてその名の通り水曜日は灰になる・・・と。
カーニバルの前1か月くらいからトリニダードとバコの首都ポートオブスペインでは各地でたくさんのダンスイベントや音楽コンテストが行われているようです。
✽カーニバルマンデー
まだ日も登らぬ早朝から始まるのは"J’ouvert"(ジュベ)と呼ばれる「ペンキぶっかけパーティ」。
屋外で色のついたインクや粉を参加者みんなで掛け合うイベントです。日本でも最近カラーランなど似たようなイベントが人気ですよね。
会場近くの道で早朝4時から8時くらいまで続くジュベ。これもガッツリ参加したいなら「ジュベバンド」と呼ばれるチームに参加したほうがベター。早朝だからセキュリティがいたほうが安心だし、チームのTシャツとかインクも使えるし。
しかしノリと勢いだけでトリニダにたどり着いた我々ジャマイカ3人娘はジュベの詳細を前日の晩に知るというノープランっぷり。しかも朝早いとか眠いし・・・
という訳で我々はチームに所属せず日が昇った頃に雰囲気だけ味わいに行くことに。
汚れてもいい恰好をして朝8時すぎに会場付近に到着。
やはり8時過ぎでは遅すぎたようで、全身にインクや粉を浴びた人たちの多くは引き上げていった後のようでした。しかしやっぱりここはカーニバルの国。街中ではまだ余韻に浸りたい人たちが踊っています。もちろん街中にはあちこちに巨大なスピーカーが置かれ、大音量のソカが流れています。
※ソカ・・・トリニダード・トバゴ発祥のポピュラー音楽。早いビートで刻むパーカッションのリズムが特徴。カリブ諸国で広く人気がある。トリニダード・トバゴのカーニバルのBGMはソカ。
まだ興奮冷めやらぬ街を歩いているうちに、まだインクを持っている人たちと遭遇。
せっかくだからジュベを味わいたかった私は「OK,カモン!」と言って黄色い粉を全身に浴び・・・。
気づけば真っ黄色。
その後街中のファーストフードでランチを済ませ、カーニバルに参加すべく登録したマスバンドの集合場所を探す。
これがなかなか大変でして。
地図が正確じゃなくて迷いあぐねた挙句、到着したものの人がいなくて門が閉まってて、11時に開くっていうから11時半に行ったら「もうみんなカーニバルに出発したよ」と・・・。
大半の人はもっと数日前からマスバンドを訪問して事前にコスチュームやスケジュール表を受け取ってる模様。私たちは何もわからぬまま当日行ったので当然こうなる・・・。
それでもなんとか後を追いかけてバンドに合流し、カーニバルに参加できました。
ひたすら爆音のソカに合わせて好きに踊りながら歩行者天国になっている街を歩く・・・歩く・・・踊る・・・飲む・・・。
メインの数人だけが全身コスチュームを着ていましたが、後の大半の人は服装は自由。バンドから配布されたTシャツやタンクトップにショートパンツというスタイルの人が多いけど、基本薄着でハデ目で動きやすいスタイルならなんでも!といった具合。
マスバンド参加料に含まれるランチ。お肉の味付けがおいしかったー。
しかしこのカーニバル、前夜祭だというのにかなりの距離を歩く。ゆっくりだけど6時間近く踊り歩きは相当エネルギーが必要。かなり飛ばしてハシャいだ我々は既にぐったり。しかし地元トリニダ民は早朝のジュベからぶっ続けでこれをやっているのかと思うと・・・カリブ海の持つエネルギーは底なしだ。
トリニダのビールでのどを潤して一休み。
✽カーニバルチューズデー
本番の朝は早い。7時集合に合わせて5時起床。
三人娘で朝から大騒ぎ。
「コスチュームちっちゃ!こんなんケツの割れ目見えるわ!!」
「メイクは派手すぎる位でいいよね!?画像ググってみよ!!」
「頭につける羽飾りが痛い~!!」
「下っ腹出てるわぁ~・・・まぁいいか!!」
ちなみに我々のコスチュームはこちら↓
↓
あくまでイメージです。
※というか本来、日本では水着でビーチに足を踏み入れることすら許されないような下層民ですが、まぁトリニダなら知り合いに会うこともないし、日本人基準のアレコレを気にせず楽しんでいるので、どうかそっとしておいてあげてください・・・。トリニダ最高。
というわけで会場へ。
朝7時に集合したものの歩き出したのは9時近く。
私たちのバンドは少し進んだらすぐに大きなチェックポイント(審査会場)に入りました。
審査会場にはたくさんの観覧席があり、一般の人がカーニバルを見て楽しんでいます。
コスチュームのデザインとテーマ、マスカレーダー(参加者)の一体感、盛り上がりなどを審査しています。
もちろん審査席の前を通過するときは盛り上がりは最高潮!!!
同じチームのみんなで灼熱の太陽の下、爆音のソカに身をゆだね・・・
日頃の私はどちらかというと冷めた人間で、服装も地味、メイクもほぼすっぴん。大騒ぎでストレス解消するようなパーティピープルでもなんでもありません。どっちかというと体動かしたり自然や田舎が好きなのんびり派。
しかし今日ばかりは「郷に入っては郷に従え」。
世界中から来たマスカレーダー達と一瞬のにぎやかで明るい雰囲気を共有するこの一瞬!なかなかクセになりますよ。
その後我々は疲れ切って3時ころにはマスバンドを抜けてバーで一休みして帰宅しましたが、カーニバルの熱狂は夕方まで続く・・・トリニダ人のエネルギーまじですごい。
✽カーニバルまとめ
こんなにも開放的な格好で街を踊り歩くなんて日本はおろかジャマイカですらなかなか出来ないこと。人の目とか周りの空気なんて気にせず音楽に合わせて踊る心地よさがあります。
とは言えアジア人は目立つのでやたら写真を取られたり声をかけられたりします。テレビの取材を受けた時は「これジャマイカでも放送されたら日本人のJICA関係者とか見るかなぁやだなぁ・・・」と唯一、人の目を気にした瞬間でした。
先ほどから「踊る」と言っていますが、トリニダードのカーニバルの踊りは特に決まった振り付けなどはありません。基本的には「ワイニング」と呼ばれるセクシーさをMAX強調するような体の揺らし方をします。女性はお尻を突き出してフリフリし、男性も腰をフリフリ・・・。初めて見るとその卑猥さは衝撃でしょう。Σ(゚Д゚)
私も「うわぁ人前でこんなことできるなんて信じらんねぇどんなメンタルしてんだ…」と思っていました。
でも一緒にカーニバルに参加した友達が言った一言でとても腑に落ちてスッキリワイニングを受け入れることができたのです。それは
「ワイニングってこっちでは伝統芸能みたいなもんだね。」
・・・なるほどー!!
別にセクシーでかわいい子だけに男性が絡んで踊るわけでもないし、ノリノリな者同士のご挨拶的な感じで踊り合うし、伝統のカーニバルで代々続く踊り方だし、アジア人の私たちが踊ってると「お!やるな!」って反応で地元の人も嬉しそうだし・・・
固有の文化を大切にしながら一体感を楽しむという面では、日本のおみこしとか盆踊りとかソーラン節とかと根っこは一緒。見た目の強烈さに捉われて気づかなかったけど、ワイニングも大切な伝統芸能の一つなんだなぁとハラオチ致しました。
体験記③へ続く・・・
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