2018年1月、私の住むジャマイカのSt. Jamesという県において、ジャマイカ政府による非常事態宣言が発令されました。
ニュース記事はこちら(英語)
→首相が非常事態宣言を発令
→非常事態宣言、5月2日まで延長が決定
非常事態宣言って・・・なんじゃい??
非常事態宣言・・・なんだか物騒な響きですが、実際どんなことが起こるのか、私の生活にどんな影響があるかを書きます。まずは新聞記事やニュースで知ったことについて引用しつつ紹介。
この記事がわかりやすかったので参照しました。(英語)
→非常事態宣言ってなに?知っておくべきアレコレ
?緊急事態宣言とは?
ジャマイカの憲法第26条の説明によると、以下の状態の時に宣言されます。a ジャマイカがあらゆる戦争に従事している
b 政府長官が緊急事態が存在すると宣言している
c ジャマイカの民主主義機関が破壊される脅威がある
?どんなときに宣言されるの?
1. ジャマイカと外国の戦争が近づいているとき2. 地震、ハリケーン、洪水、火災、疫病の発生、感染症の発生、その他災害の発生時
?非常事態宣言によってどんなことが起こるの?
治安部隊には特別な権限が与えられます。通常は家宅捜索や地域の一斉摘発などを行うには捜査令状が必要です。しかし非常事態宣言下では、警察は捜査令状なしで怪しい家の家宅捜索や危険な地域での捜索ができます。
?期間は?
議院によって延長されるか、または取り消されない限り、1ヶ月間有効。→今回は5月2日まで延長が決定したので約3か月半の期間となりました。
!ジャマイカの非常事態宣言の歴史!
ジャマイカ独立後55年の歴史の中で過去には4回。1. 1966年10月:ウェストキングストンの暴力事件増加
2. 1976年6月:暴力事件増加
3. 2004年9月:ハリケーン・アイバン発生後の復旧活動
4. 2010年5月:ギャングのドン「ドドス」逮捕のため
8年ぶり5度目の出場です。(甲子園かっ!!!)
?なんで非常事態宣言が出たの?
ここからはニュースや報道記事情報に加えて、私の主観や同僚の噂話も混じります。主な理由は「宝くじ詐欺や闇の拳銃取引を生業とするギャングを一斉摘発するため」
まずギャングという単語がなんとも死語ですが、ジャマイカにはギャングと呼ばれる若者集団があちこちにいます。
欧米人(主に高齢者)を狙った宝くじ詐欺が横行しています。
メールやメッセージで「おめでとう1000万円当選しました!税金とか手数料100万円が必要だからとりあえず送金してちょ♪」といったような感じ。(だと思う。)
これでお金儲けしているだけならまだいいんですが、集めた金が権力を生み、銃の密輸入と絡み、闇の政治勢力と絡み、買収し買収され、勢力争いでギャング同士の抗争が生まれ、殺人が起こり、その恨み辛みが次の復讐へと連鎖する・・・という無限スパイラル。それがギャングコミュニティなのだそうな。(ジャマイカ人の友人談)
?なんで今?
任期も残り5か月を切った私としては、まさしく「なんで今やねん!?」の心境。実は私が赴任した1年半前から、大使館の警備担当者は「いつ非常事態宣言が出てもおかしくないよ」と言っていました。たぶんもっと前々から非常事態宣言に関する議論があったのでしょう。
新聞でも「なぜ宣言するまでにこんなに時間がかかったの?」「ついに今!非常事態宣言!」といった論調の記事を見かけます。
どうやら世間的には「ようやく今かぁ」という感じ。観光業の関係者からは「だからって観光シーズンの今やらなくたっていいじゃぁん・・・」とのボヤキも聞こえます。
そんなわけで非常事態宣言
ジャマイカ政府:(ずっと前から非常事態宣言やるやる詐欺しつつ先延ばしにしてきたけど・・・準備もできてるっちゃできてるし・・・昨年の殺人率増えちゃったし・・・ええぃ!)「非常事態宣言、やるで!」・・・個人的にはこんなノリなんじゃないかなと思ってます。
?めちゃめちゃ殺される街?
私の任地St. Jamesにおける2017年の殺人件数は335人。
ほぼ1日1人、どこかで誰かが殺されていることになります。
治安の良し悪しを判断する指標の一つに殺人発生率というものがあり、その定義は「人口10万人あたりの殺人件数」。
St. Jamesの人口は185,985人なので殺人発生率は180ということになる。
(ここで言う「殺人件数」が被害者一人で一件と計上される場合はこの計算でOKだけど、一事件で一件と計上される場合は複数の被害者が一件扱いになる場合があるので多少ズレがあるかも。)
St. Jamesの殺人発生率180。これは多いのか少ないのか?
国ごとの統計で見てみると…
殺人発生率1位のエルサルバドルで108.6。ジャマイカは43.2で堂々の5位。アメリカで4.9。日本は0.31。
めちゃめちゃ多いやん180て。
エルサルバドル余裕で越えてる値だわ。
大使館の警備担当の人曰く、殺人発生率の基準としては10を超えると「内戦状態に等しい」というイメージらしいです。
その18倍・・・。内戦パーリナイ・・・??
長くなったので次回に続きますが、とりあえず私は安全なところに住んで周囲は平和なのでご心配なく。
次回は実際暮らして感じる危機感や周囲の反応などなど。