2週間前、10月頭ごろはハリケーン”マシュー”の襲来でジャマイカは緊張状態にありました。
結果、ハリケーンの進路はハイチ側に逸れたためジャマイカには大きな被害はありませんでしたが、ハイチの被害は深刻です。一刻も早い復興、一人でも多くの命が助かることを願っています。
今回は簡単に、ハリケーンの影響で身の回りで起きた出来事について時系列をまとめます。
09/28
予報では主にジャマイカの東海岸で大きな被害が予想されるとのこと。
私の住むモンテゴベイは西海岸に位置するためどこまで危機感を持つべきかわからず、時折ニュースやネットで情報収集
09/29
JICA事務所から電話があり、「念のため首都に避難しましょう」とのこと。
首都は東側に位置するため、ぶっちゃけ
「いや、むしろ自分からハリケーンの風を浴びに行くようなもんじゃぁん」
と思いました。
でも、被害が大きくなって部屋の窓ガラスが割れたり、電気水道が機能しなくなったり、電話が使えなかったりしたら一人では安全を確保できないから、関係者が集まる首都の方が安心できるという話にまとまりました。
また土砂崩れで道路が封鎖される可能性があるため、移動不可能になってからでは遅いという危機管理上の理由もあるようです。
09/30
隣の県に住む先輩隊員さんと二人で首都へ移動。JICAが車を手配してくれました。
移動中にネットニュースでハリケーンの威力が「カテゴリー3」であると知りました。
※ハリケーンの大きさは5段階で表され、カテゴリー1~5と呼ばれる。1は弱くて5が最大。
ジャマイカ人ドライバーさんいわく、「カテゴリー5は本当に滅多にないことだ。昔大きな被害をもたらしたハリケーンギルバードはジャマイカ上陸時点でカテゴリー4。カテゴリー3でもかなり大きな嵐になる」とのこと。
移動の途中で、食料を確保するためにスーパーへ。
ハリケーン慣れしたジャマイカのみなさんは備蓄の準備も徹底しています。
水・パン・缶詰・シリアル・チーズ・トイレットペーパーなど日用品を買い貯めるお客さんでレジは行列。
特にパン類は人気で(電気ガスが止まっても調理なしで食べられるから)、JICAドミトリー近くのソベリンスーパーマーケットのパンの陳列棚はこの有様。
10/01
午前は快晴。午後から一時的に激しい雨が降り、水はけの悪い一部の道路が冠水。
この水はけの悪い道路は激しい雨が降ると度々被害を受けているようです。他の隊員さんから原因はゴミが側溝に詰まっているからだと教えてくれました。環境問題がここにも影響しているんだなぁ。
とはいえ、この日の雷雨はハリケーンではなくいつものジャマイカの夕立。
夜はドミトリーに避難している地方隊員数名でたこ焼きをしたりトランプの大富豪をして呑気に過ごす。
10/02
数日前まではこの日がハリケーンのピークと言われていたが、速度が遅く、また進路がずれていたため終日ほぼ快晴。
むしろ近所をジョギングして気晴らしをしたほどでした。
青年海外協力隊員は赴任後3か月で第一号目の報告書を提出しなければなりません。
私は9/27で丁度3か月でしたがまだ完成していなかったため、これを機に黙々と作成し、提出。
日本食も作った
10/03
一日ドミトリーに籠って配属先からもらった資料を読んだり、語学の勉強をしたり、ネットサーフィンしたり。
他の隊員さんたちも、引きこもりの共同生活に疲れてくるタイミングなのか、ため息が多い。
ハリケーンの進路はかなり東向きに進み、ハイチ方向へ
10/04
ハリケーンの威力が弱まり、またジャマイカ直撃が避けられたため、一安心。
明日にはJICAの避難指示も解除され地方に帰ることができるとのこと。
語学と仕事の勉強にも飽きてきて、読書を始める。
ドミトリーの本棚には偉大な先輩隊員の皆様が遺していった素晴らし本がたくさんあるのです。
10/05
JICAの手配した車で地方へお帰り。
家も職場も被害なし。
報道でご存知の通り隣国ハイチは大きな被害を受けたため、ジャマイカも無関係ではいられないでしょう。現在私の配属先では事務所に復興支援ブースが作られ、ハイチへの支援物資を集めています。
また配属先は観光開発公社という国の組織のため、観光産業の視点からカリブ諸国全体で復興推進していくという動きがあるようです。
・・・以上。時系列でした。
●以下は私のつぶやき。
今回のハリケーン襲来で痛感したのは「観光産業の脆さ」。
私の関わる「観光産業」は、いわゆる平和産業です。平和であることが大前提。
大きな災害がなく、交通機関を安全に利用できて、治安が良くて、盗まれたり殺されたりする不安がなくて、初めて人が集まってくる。
危険な目にあいたくてバカンスに来る人は誰もいませんからね~。
だから「平和であること」は観光の大前提なんです。
治安は人間の手で改善が可能ですが、今回のハリケーンのような自然災害は避けることができない。だからもどかしいけど、防災計画やインフラ整備、土木技術などで地道に対策をするしかない。
観光産業は平和がなければ成立しないという意味では諸刃の剣ともいえるかもしれません。
では、その土台の「平和」を作るために、私にできることは何があるのか。
元々この春までは車掌をしていたため、安全を守るという類の言葉には人一倍思うところがある。
「安全をつくる、安心を守る」という意識は自分に刷り込まれているし、自然災害発生時の訓練なども一通りやっていた。すみません多くはブログでは書けませんが。
今の自分は「観光開発公社の一職員」。車掌と比較するとダイレクトに「平和を守る」ような業務はない。でも、自分の経歴とジャマイカの現状をマッチさせて、自分だからできる「平和」へのアプローチもあるかもしれない。
そういった視点からも、自分の業務を捉えていこうと思いました。
長くなりましたが読んでくれてありがとう('ω')
JRの「安全をつくる、安心を守る」、K市の「安心・安全な街づくり」。インフラ整備、ハウツー・マニュアル、皆の意識変革とプリパレーション・・・と色々。「観光産業→平和→防災と減災」をジャマイカバージョンで考える・・・壮大なチャレンジやね。
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返信削除K市のスローガン初めて知りました!どこでも誰でも、安全は人生の基盤ですね。ジャマイカの治安問題は政治やギャング、貧困などが深く絡まっているので、なかなか一朝一夕にはいかないでしょうけど・・・。
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